
企業のリスク管理や災害対策において「BCP(事業継続計画)」の策定が注目されていますが、実はこれは単なる企業防衛の手段ではなく、「CSR(企業の社会的責任)」の一環としても非常に重要な取り組みです。では、BCPとCSRの関係性とは一体どのようなものなのでしょうか?今回はその本質に迫ります。
◆BCPとは?~企業を守る“備え”~
BCP(Business Continuity Plan)とは、大地震や感染症、サイバー攻撃などの非常事態に直面しても、企業が中核となる業務を中断させずに継続・復旧するための計画のことです。
☑ 業務の優先順位の明確化
☑ 非常時の指揮命令系統の整備
☑ 代替手段の確保(テレワーク・サプライチェーン見直し など)
といった要素が含まれます。
事前の備えがあるかないかで、被害の大きさも復旧のスピードも大きく異なります。
◆CSRとは?~社会から信頼される企業になるために~
CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業が法令遵守や利益追求だけでなく、社会全体に配慮した責任ある行動をとることを指します。
たとえば、
✔ 環境保護
✔ 地域社会との連携
✔ 労働環境の整備
✔ 公正な取引
などがCSRの代表例です。
企業が「持続可能」であるためには、利害関係者(ステークホルダー)との信頼関係構築が欠かせません。
◆BCPはCSRの実践のひとつ
近年、BCPの整備はCSRの実践の一環と見なされるようになっています。特に以下の3つの視点から、BCPがCSRと強く結びついているといえます。
従業員を守る責任
→ 災害時にも安全を確保し、雇用を守る体制は“人への責任”の証。
取引先・顧客への影響最小化
→ 業務停止が他社や消費者に与える影響を防ぐことは“供給責任”の一環。
地域社会への貢献
→ 災害時の支援拠点や情報提供など、地域と連携する企業は“信頼される存在”に。
災害時に混乱に陥るのではなく、むしろ地域の安定を支える企業として行動する姿勢は、CSRの本質そのものといえるでしょう。
◆BCPがある企業は「信頼される」
消費者や取引先、投資家の視点でも、「災害に備えている企業」は“安心して取引できる相手”と見なされます。特に中小企業では、BCPの整備が進んでいない場合も多く、他社との差別化ポイントにもなります。
💡たとえば、ある中堅製造業では、BCPを策定したことで新規顧客からの信頼を獲得し、災害時の緊急対応先として優先的に指定された事例もあります。
◆まとめ:備えは「社会との約束」
BCPは「企業を守る」ための戦略であると同時に、「社会に対する約束」を果たすCSRの一部です。
✅ 従業員を守る
✅ 顧客や取引先への責任を果たす
✅ 地域に貢献する
こうした姿勢が、結果として企業のブランド価値を高め、長期的な成長にもつながります。
BCP策定は、今や「やるべき業務」ではなく、「果たすべき責任」になりつつあります。
あなたの会社は、社会から求められる準備、できていますか?